油断

奈美に連れられて
ちょっと雰囲気のいい
バーに行った。

 

 

「ユカ、荒れてるねぇ?」

 

 

「…そうかな」

 

 

「どうして
 寛人君にフラれたの?」

 

 

 

「…酒グセ…」

 

 

 

「そりゃいいや!
 ユカの酒グセは
 ヒドイからね!!!」

 

 

奈美が爆笑している。

 

 

私は笑えない。

 

 

それだけは
寛人にバレないよう
必死だったんだ。

 

 

それなのに…

 

 

結婚が決まって
油断していたんだろうか?

 

 

「いつかはバレること
 だったんだし
 しょうがないじゃん」

 

 

「一生隠し通す
 つもりだったのよ!」

 

 

「ムリだって!
 そんな結婚幸せじゃないよ」

 

 

「そうでもしないと
 結婚できないよ!」

 

 

「そんなに
 結婚したいかな!?」

 

 

奈美は結婚願望がない。

 

 

自分の仕事に自信がある彼女は
男に依存したりしない。

 

 

私は奈美のようにも
なれないから困るんだ。

 

 

 

奈美に愚痴を
聞いてもらっているとき

 

 

店に男性客が二人入って来た。

 

 

その二人は
私たちの座るカウンターの
2席空けた隣に座った。

 

 

「どっちもイイ男じゃない?」

 

 

そう奈美に言われて
どれどれ?と見てみると…

 

 

「か、課長!?」

 

 

課長も私に気付いたみたいで

 

 

二人は気まずい会釈をした。

 

 

「ユカ?知り合い?」

 

 

「うん…上司…」

 

 

「イイ男じゃん!
  紹介してよ!」

 

 

「そんな距離感じゃないよ…」

 

 

 

休みの日まで
会いたくないヤツだ。
なんでこんなところに…

 

 

「店を変えたいな」

 

 

「その前に紹介してってば!」

 

 

「冗談じゃないよ…」